筋トレ専門のユーチューバーと聞くとどうしてもターゲットが少なく、チャンネル登録者や視聴者が少ない印象ですが、最近は日本にもフィットネスのブームが徐々に浸透してきているのでユーチューバー自体の数も増えてきていますよね。
その中でもI’m Body Jin(小池友仁)さんは、2019年に日本人4人目となるフィジーク競技のプロになり他の筋トレユーチューバーを差し置いてものすごい存在感を放っています。
筋トレが趣味の私は、ユーチューバーとしてのJinさんというよりは選手としてのJinさんを応援している身で、実際に私もJinさんのフィジークのコンテストの動画を見て筋トレに目覚めたのです。
自転車競技にも必要な背中の筋肉
昔のJinさんは背中と肩の筋肉が弱点で、体を前から見た時の大迫力なフレームに比べて後ろ側の筋肉量が少ないイメージがあったのですが、トレーニング種目を改善してからは背面の横幅がプラスされ見事なT字型の背中に成長してきたのです。
トレーニングしている人で、自分の得意な部位を聞かれたときに背中と答える人はおそらく少ないと思いますが、私は自信を持って背中と答えます。
高校時代を振り返ると、私はもともと自転車競技をやっていて、長距離を乗るロードバイクでの走行も競輪場を走るピストバイクでの走行も両方やっていました。
それに伴い、前傾姿勢で長時間耐え続けるための持久力と、全力疾走をするときにハンドルを体に引き付けながら上半身の力をペダルに伝えるための瞬間出力を兼ね備えている必要がありました。そのため、背中の筋トレは週3回ハードにトレーニングしていました。
部活の背筋運動と懸垂の違い
私が週3日行っていた背中のトレーニングでどの日にも取り入れていた種目、それはJinさんがいつも背中のトレーニングの最初に行っていたチンニング(懸垂)でした。
中学高校の部活や体育の授業で行う「背筋」という筋トレで使われている筋肉の大部分は、脊柱起立筋と言ってインナーマッスルのトレーニングになります。
インナーマッスルを鍛えることは、体幹を強くするということなので競技をする上では下半身の安定にとても有効ではありますが、同時にウエストが太くなり寸胴になってしまうのでボディメイクの面ではデメリットになってしまいます。
そういった理由からも脊柱起立筋には持久力が、腕を引くのに必要な背筋群には瞬発力が必要ということが分かり、チンニングを取り入れたのです。
手幅を変化させるチンニング(懸垂)のやり方
チンニングと一口に行っても、手幅や握り方、体の反り具合で背中にある様々な筋肉に効かせることが出来る万能な種目なので、大まかに分けて3種類行っていました。
それぞれのメリットと手幅、握り方、動作、意識する点について解説していきます。
背中の中で最も体積の大きい広背筋を鍛える
広背筋を鍛えるメリットとしては、大筋群を使うことにより代謝がアップするということやきれいな背中の筋肉のラインを出すために効果的であること、また肩甲骨の下制(下に引っ張ること)という動作で出力が出るようになるので日常生活で肩の無駄な上げ下げが少なくなり肩こりの隠れた予防方法になる、というように多岐にわたります。
まず、手幅は肩幅の2倍くらいにし、握り方は逆手の方が筋肉が伸びた状態で負荷がかかるので筋肥大しやすいですが、上腕二頭筋という力こぶのある部分の筋肉を使ってしまいやすいので動きに慣れるまでは順手で行いました。
掴んでいる棒に向かって胸を(張りながら)近づけに行く感じで体を持ち上げていきます。そのまま脱力せずに肩甲骨が上に引っ張られるような感覚で戻ります。肩甲骨のストレッチを十分行ってからとレーニングし、肩甲骨を下に引っ張ることで体が持ち上がるという意識で行うと効きがいいです。
横に張り出した背中をつくる大円筋を鍛える
大円筋とは、筋肉の停止部が広背筋の停止部とほぼ同じところにあるので動きとしてはほぼ同じです。
よって、広背筋の動きを補助する役割もあります。また、この部分が発達すると、腕を横に押し出し肩回りの密度が上がるので筋肉質なことをアピールしやすくなります。
手幅は広背筋に効かせる時と同様に肩幅の2倍程度にし、握り方は順手にします。
身体の挙上の動作は、広背筋を鍛える場合と同じですが、今回は棒に胸を近づけに行くのではなく首の後ろ側を近づけに行きます。
意識する点はガラッと変わり、肩甲骨は常に中央に寄せたまま終始動かしません。ちょうどわきの下の少し後ろ側に力が入っていることを意識します。
背中の厚みを生む僧帽筋中部下部を鍛える
肩甲骨の内旋(肩甲骨が内側に寄ること)の動作を司る僧帽筋の中部を鍛えることで肩甲骨の位置を直してくれます。また、背中の厚みをつけることが出来、横から見ても迫力のある体づくりに貢献します。
手幅は肩幅くらいかそれより指1、2本狭いくらいにし、棒は逆手で持ちます。
このチンニングは普通のチンニングとは一風変わったやり方をします。まず、ぶら下がった状態で肩甲骨を外側に思いっきり開きます。その状態を保ったまま腰ではなく胸椎あたりを反り、肩を前に出します。
そして挙上に入るのですが、ひじを曲げる動作は一切行う必要はなく、肩甲骨を中央に寄せることによって上半身が上に持ち上がるような感覚で左右の肩甲骨の中央あたりを収縮させます。降ろす時は肩甲骨が開きながら収縮していた部分が徐々に伸びていくような感覚で元に戻します。
どの種目も3~4セット行い、セットごとに限界までやることが重要です。
懸垂を継続して得られる効果は?
4カ月くらいこのトレーニングで背中を鍛えることによって自転車競技でのパフォーマンスが上がっただけでなく、姿勢がよくなって他のトレーニングでも身体のバランスを保ちやすくなったり、腕相撲が強くなったりしました。
背中の筋肉で腕を引くという意識が出来るようになったら、腕相撲で有利になったんです!
なお、1回も体が上がらなかったり反復できない場合は、ジャンプして上まで上がって重力に耐えながらゆっくり降りてくるだけでもトレーニングになるので、諦めずに最初はそこから始めるといいです。
私もそこからのスタートでした。週3回各バリエーションでトレーニングを続け、2~3週間後にできれいな1回が出来るようになれば、良いペースといえるでしょう。