高校の陸上競技部に所属して、中距離種目に取り組んでいる男子部員でした。短距離走と違い、中距離以上の距離の種目になりますと、ウエイトトレーニングによっていわゆるムキムキな身体を作ってしまいますと、結局その筋肉の重さが身体の重りとなってしまいますので、あまり効果的とは言えません。
しかしながら、疲れてきた中でも、良い姿勢やフォームを崩さずに保てるだけの筋肉は必要になります。私の場合には、高校がそこまで部活が盛んでなく、陸上競技に関して詳しい顧問もおらず、練習のメニューは自分自身で考えて行う必要がありました。
乳酸を使える体づくりで持久力アップ
中距離種目を行っている競技者が最も強くなる機能は、耐乳酸能力です。耐乳酸能力とは、文字の通り、乳酸が溜まっている中でも、身体を動かし続けることができる機能です。
乳酸と聞くと、疲労物質であり、身体の中にあってはいけないものというイメージも持たれがちですが、実際にはそうではなく、糖質や脂質等と同じように、運動をする際のエネルギー源となる重要な物質です。そして、乳酸は酸素と結びついて、遅筋や心筋を動かすためのエネルギーとなります。耐乳酸能力を高めることで、遅筋を使って力強い動きも可能になります。
速筋と遅筋の中間であるピンク筋を鍛える
また、筋線維としては、中間筋が発達します。中間筋とは、所謂白い筋肉と言われる、「速筋」に属するものの、昨日としては、文字通りに速筋と遅筋の中間の性質を持つ筋線維です。ピンク筋などと呼ばれることもあります。
このピンク筋はスピードやパワーを持ちつつも、持久的運動にも向いているという万能型な筋線維ということが出来るでしょう。つまり、速筋線維でありながらも、働きとしては遅筋のような動きをしてくれます。
中間筋は糖からエネルギーを生み出して、乳酸を作りながらも、その乳酸をミトコンドリアで酸化させて再びエネルギーに戻しているため、遅筋よりも強いパワーを発揮でき、かつ速筋よりも長い時間、大きな力を発揮できます。これにより疲労が出てきた中でも、全力に近い動きをすることが可能になります。
体幹を鍛える基本的なプランクのやり方
そして、これらの機能を鍛えるために行っていた筋トレ種目がプランクでした。プランクは英語でplankと書き、日本語では板という意味になります。その言葉通り、身体を板のように、地面と平行にしてまっすぐに伸ばして、その姿勢を維持することで腹筋や背筋といった身体の部分に加え、体幹全体を鍛えるトレーニングを行っていました。
プランクでは、まず左右の両肘から先の手首にかけての部分と、左右のつま先を床につけて、腕立て伏せをするような姿勢を作ります。
そして、その状態で、かかとから頭の先までが一直線になっている姿勢をキープします。これが元となる原型の型です。
ここから、まずは、右の足を上げて、地面に水平になる位置でキープをします。この時に、お尻が極端に上がりすぎたり、下がりすぎたりすることの無いよう、気を付けましょう。
そして、次は左の足を上げて、同じようにキープします。この2種類の動きが終わったら、再びつま先は両方とも地面につけます。そして、次は左の手を上げて、地面と水平になる位置でキープをします。この時、手を上げた方と逆の方が落ちやすくなりますが、首からかかとまでしっかりと一直線になるように心掛けましょう。
それが終われば、足の時と同じように、上げる手を右に変えます。これが終わったら、最後に原型の型でプランクを行います。足や手を上げてプランクを行った後の、原型は非常に余裕が感じられるはずですので、最後は特に姿勢に意識を置きましょう。
この5種目を1セットとし、それぞれを60秒ずつ、そして間の休憩を15秒以内にして行います。これによって、体幹を十分に使えるようになって無駄なエネルギーの消耗を防ぐことが出来、また足以外にも背筋や大殿筋といった大きな筋肉で身体を動かすことが出来るため、乳酸が溜まり始めるのを遅くして、最後まで力を発揮できるようになります。
プランクで体幹を鍛えるメリット
このようにして行うプランクは競技力向上以外にもメリットがあります。1つ目は姿勢が良くなるということです。体幹は身体の中にある大きな筋肉であるため、同じ姿勢を維持することが非常に楽になります。ずっと立っていても、他の人に比べて背筋を伸ばしているのが楽になったり、長時間歩いていても、腰が落ちないため、非常に力強さを感じさせられます。
2つ目は引き締まったお腹を手に入れられることです。シックスパックのように腹筋を割るには、腹筋だけを鍛えるだけでは到達できません。身体のあらゆる筋肉をバランスよく付けることがとても重要になります。そういった意味で、プランクでは腹筋だけでなく、裏の背筋や、腹筋の下の股関節周りの筋肉も強化できます。それによって、引き締まったお腹を手に入れられる上に、継続して行うことで筋肉量が増え、基礎代謝が上がるため、沢山食べても太りにくく、痩せやすい身体になることができるでしょう。