私は筋トレを始める5年程前に入院を経験しガリガリにやせ細りました。
その後、退院後の病後療養にあわせて順調に体脂肪を蓄えました。
しかし、入院生活を通じて日常生活に最低限必要な量の筋肉すらも失っていたこともあって腹筋は見る影もなく、猫背なちくわのような体になっていきました。
マイティソーで見たクリス・へムズワースの肉体
もとから痩せ型の家系で体形を気にしたことはありませんでしたが、洋画の鑑賞を趣味にするようになり、強靱な肉体を持つ多くの主人公と対照的な自分の頼りない体を強く意識するようになっていました。
クリス・へムズワースさんを知ったのはヒーロー映画である「マイティソー」においてでした。近年、世界歴代映画興行収入においてあのアバターやタイタニックを抑えて1位となったアベンジャーズシリーズにも登場するクリスさん。
雷の神を力強く演じ、私の中に「頼れる漢像」「近代ヒーロー像」のようなものを打ち立てました。
クリスさんの写真に、クリスさんがタンクトップを着てお子さんを抱き、ベビーカーを押す日常の姿を写したものがあります。
隣に立つ奥さんはどこか小さく見え、家族全員がクリスさんという大きな傘に守られているようで、とても微笑ましいです。
男性が力強くあること、それはただ本人の魅力を高めるだけでなく何事からも家族を守る意思の表れのようにも感じました。
ヒーローに求められる大きな肩
クリスさんを知った後、今までに出会ったアメコミヒーローや漫画の強キャラたちを思い返すと、ある共通点に気がつきました。
それは、巨大な肩。頭と同じくらいの大きさの肩から垂れたマントが翻り、張り出た肩からウエストにかけて逆三角形の上半身を、皆持っています。
「メロン肩」という言葉をご存じでしょうか。これはそのままの意味で、肩にメロンがくっついているかのように肩の三角筋が大きく発達している状態を言うものです。
確かに厚い胸板や割れた腹筋は大切なかっこいい体の1要素ではありますが、これらは身体の輪郭部分よりも内側にあるので、服装によっては上半身裸にでもなっていない限り見ることができません。
一方、肩というのは上半身の逆三角形の頂点部分にあり、ウエストと並んで人の体形の印象に大きく影響する位置にあります。
肩を大きくすることの良い影響はこれだけではありません。人の視覚ではものの比較によって大きさを認識することも多く、肩トレをすればこれを上手く利用することが可能です。
つまり、肩が大きくなればなるほど、近くにあるものは小さく感じられます。身長191センチのクリスさんの横にいては161センチの奥さんがやけに低身長に見えるのと同じです。
これにより骨格を変化させることなく、ウエストはより引き締まって見え、顔はより小顔に見えてくるのです。
丸く大きな肩の条件
肩を形作る筋肉は三角筋ですが、この筋肉は前部、中部、後部からなっています。
このため肩全体を丸く大きく発達させたいのであれば、前部、中部、後部の全てを筋トレで刺激する必要があります。
具体的な筋トレ種目としては、フロントレイズ(前部)、サイドレイズ(中部)、リアレイズ(後部)が代表的です。
ここで筋トレを少しでも知っている方なら、「なんだ、超基本種目を勧めるじゃないか」とお思いになったかもしれません。
でも少しお待ちください。先程紹介したクリスさんのように立派な体を持つ人ですら、肩のトレーニングにはこれらの基本種目を行っています。
肩に関しては、ひたすら高重量を追い求めたり、特殊な種目を組み合わせたり、といった方法が筋肥大の近道というわけではないのです。
初心者が肩を発達させるコツ
私はクリスさんに影響を受けて筋トレを開始し、肩トレの日を作って集中して大切に行ってきました。
筋トレの先輩たちからは「肩トレに1回分のトレーニング時間を割くなんて初心者にしては珍しいね」と驚かれることも多かったのですが、持論を話すと「確かに、ボディビルやフィジークでも肩の筋肉は大切で強みになり得る部位だ」と納得していただけました。
今までにたくさんのプロフィジーカーたちのトレーニング動画や解説動画を見て、実践してきました。これまでに私が感じた、頭に入れておくと良いことを以下に記します。
これはフロントレイズ、サイドレイズ、リアレイズのいずれにも当てはまるコツになります。
コツ1.軽めの重量から始める
胸や背中、脚のトレーニングとは異なり、三角筋のトレーニングはよりテクニカルで動作が重要です。
1rep目に「軽すぎかな?」と思うくらいの重量から始めてみましょう。10~15rep行ったときに「休憩しないともう無理!」と感じられる重量が効率的だと思います。
コツ2.やや高回数で行う
鏡や目視で肩のどこが張っているのか見ながら、10~15repを3~5set、丁寧に行いましょう。上で述べた重量設定の時点で、初心者のうちは3setかそれ以下で限界が来ると思います。
コツ3.筋トレ種目を増やしすぎない
他の部位の筋トレとの組み合わせに関してですが、私のおすすめは肩トレと腹筋トレ又はオマケ程度の腕トレとの組み合わせです。
クリス・へムズワースさんは腹筋トレと組み合わせているそうです。
肩トレは動作の正確さが重要です。集中して正確な動きをできる範囲の重量で、短時間でやりきりましょう。関節が痛むなど無ければ、週に2~3回程度行ってもよいですが、あまりに疲れを感じないのであればフォームや重量の見直しを行いましょう。
コツ4.動画を見てフォームを学ぶ
肩トレで最も大切なのは、フォームです。肩の周りには首、腕、背中のような他に使いやすい筋肉がたくさん有ります。
三角筋によく効かせるには、ヒジ先行の動きでダンベルを上げること。
腕で持ち上げようとはせず、ヒジを肩支点で肩と同じ位置まで挙げた結果、ヒジの先に繋がっている手がダンベルを持ち上げた、と言うイメージです。ぜひ、いろいろなトレーニング動画を参考に、自分の身体の動きで試してみましょう。
コツ5.鏡の前で動きを確認しながら行う
自分の身体の動きは、自分が思うほど把握できていないものです。
初心者のうちこそ、鏡の前で、大きな動きでトレーニングしましょう。
おもりが、肩を支点として、前後や上下に大きくブレずに動いているか。肩が上がってしまっていないか。良く確認しましょう。ジムによっては、動作に関してアドバイスを先輩からいただくこともできるかもしれません。
コツ6.どこに効いているかを意識して行う
筋トレは、限界に近い重さで、できるだけたくさん行う方が効果がありそうに思えますが、そうではありません。
特に三角筋のトレーニングはその動きの特性上、三角筋が疲れてくると周りの他の筋肉で動きをサポートしがちになります。
身体の軸を固定して肩を支点にしてレイズを行いますが、身体が前後にブレ始める、肩の位置が上下に大きく動き始めたり、肩よりも手が先行して動き始めたりしたら、目的の筋肉には効いていないことが多いです。
他の部位の筋トレよりも、力で挙げる感じではなく、どこに効いているのか、の実感を伴った動作ができているかが大切な種目ですので、自分の身体の動きに良く集中することが大切です。
コツ7.片側ずつ行うと効果的なことも
両肩を同時に行うと集中なんてできない、と感じたら、迷わず片方ずつ行いましょう。
私は、両肩同時にサイドレイズを行っていたときは、僧帽筋(いわゆる「肩こり」を感じる部分)にばかり刺激が入ってしまって肩は大きくなりませんでした。
しかし、鏡の前でベンチに身を預けたり、ラックに掴まったりして片方の肩とフォームにだけ集中すれば良い条件でトレーニングを行うようになってから、しっかり目的部分の張りを感じるようになりました。
重量の伸びは少ないものの、「以前と同じ軽めの重量でも、うまく目的の部分に効かせられるようになった」と考えられるようになれば、こちらのものです。
ある程度動きに慣れて筋肉が発達すると「肩のパンプ」さえ感じられるようになってきます。私は肩トレの正確な動作に気をつけ始めるまでの2年間よりも、丁寧な動作を心がけるようになってからの1年間の方が時間は短いですが肩の成長は大きかったです。
肩トレは気を付ける点が非常に多く、初心者でトレーナーやコーチがいないと難しいと感じがちな部位ですが、たくましい体のアウトライン作りには欠かせない部位です。
ここでご紹介したコツを参考に、怪我に気をつけて楽しく素敵な身体を手に入れましょう。
(文・Auser)