1歳からスイミングスクールに通い、水泳歴は22年。現在は競泳コーチとして選手育成に携わっています。今回お伝えしたいのは、水泳とお尻の筋肉の関係についてです。
水泳はお尻の筋肉を使う?
水泳というと肩幅が広くなる、といったイメージがありますよね。
では、お尻のイメージは? こちらはあまりピンとこないかもしれません。でも、すごく関係があるんです。
実は水泳のキック動作において、お尻の柔軟性と筋力はとても大切なんです。特に背泳ぎのキックは、体が仰向けになった姿勢で行います。膝を体の前に出してしまうと、水上に膝が飛び出してしまうため、推進力が得られません。足全体をお尻の後ろ側にグッと下ろす動作が重要です。
背泳ぎの選手はそんな動作を毎日の練習で、何百回、何千回と繰り返しています。例えば1回の練習で5000メートル泳ぐとすると、1メートルにつき左右1回ずつと考えても、約5000回もお尻を使って蹴っていることになります。
背泳ぎの動きそのものでもお尻の筋肉を酷使しますが、競泳選手になると陸トレと呼ばれる筋トレによって、さらに筋肉を鍛え上げていきます。
ヒップアップに必要な筋肉を知ろう
まずは、お尻を引き上げてくれる筋肉のご紹介をしましょう。
筋トレは、部位に対する意識の有無で効果が全く変わってきます。お尻を鍛えるときは2つの筋肉を意識すると効果的です。
お尻の大きな筋肉「大殿筋」
1つ目は、大殿筋と呼ばれる「お尻の下側の筋肉」。これはお尻全体の丸みを作っている、大きな筋肉です。
左右のお尻を寄せるように、力を入れてみましょう。鍛えられているお尻だと、横にくぼみのようなものが出来ます。これが、お尻の下側の筋肉である大殿筋です。とても大きい筋肉なので、この筋肉全体がグッと上に引きあがると、上向きのプリッとしたお尻が出来上がります。
お尻を引き上げて見せる「中殿筋」
2つ目は、中殿筋と呼ばれる「お尻の上側の筋肉」です。腰の横に手を当て、骨盤を探しましょう、グリグリっと硬い所です。そこから5センチほど下、さらにやや後ろ、そこがお尻の上側の筋肉である中殿筋です。この筋肉が発達すると、大殿筋が上に引きあがって見えます。
ポイントは、お尻の下側の大殿筋だけを鍛えても、プリッとしたお尻は完成しないということ。ヒップアップのために大切なのは、お尻の上側の中殿筋です。
片足スクワットでお尻の筋肉を鍛える
スイマーが行っているお尻の筋トレは、片足スクワットです。
バランスをとるのが難しいため、椅子などに足をのせて安定させるとよいでしょう。このようにして行うスクワットはブルガリアンスクワットと呼ばれることもあります。
右足で行う場合は、まず両脚を肩幅に開き、右足一本で立ち、左足を後ろに曲げます。後ろに置いた椅子の上に、足の甲を乗せ、両手は腰に置きます。これで準備はバッチリ。
ここからゆっくりと右膝を曲げていきましょう。体を起こしたままだと、効く部位は太ももです。しっかりとお尻に効かせるためには、体はグーっと前に倒すイメージです。
お臍と右足の太ももが当たるくらいまで倒してください。当たる直前で止まり、その後、ゆっくりと起き上がります。これを、左右10回ずつ行いましょう。お尻の上側の筋肉「中殿筋」を意識するのがポイントです。
水泳選手、特に背泳ぎのスイマーは、このようなお尻の筋トレをたくさん行っているため、お尻がキュッと上に引きあがっています。足長効果もあるのか、私の周りの背泳ぎスイマーは皆足が長く、小尻です。
今回ご紹介した筋トレの良いところは、太ももへの効果が薄いため、太ももが太くなる心配がないことです。足は太くしたくないけど、お尻は引き上げたいという女性にもぴったりの種目ですね。