映画「ターミネーター」でアーノルドシュワルツェネッガーのことを初めて知りました。
演技もさることながら体格の良さに目がいきました。そこから彼の半生を調べていくと元々ボディビルダーとして活躍していたことを知り、競技をやっている時の肉体の画像などを調べ、素晴らしいプロポーションにますます虜になりました。
細いウエストに広い肩幅。これぞ逆三角形という肉体に憧れました。
アーノルドシュワルツェネッガーのハイボリュームトレーニング
アーノルドシュワルツェネッガーのトレーニングの特長は、とにかく数多くやること。
有名な話しとしては、森に出かけて行ってそこで延々とスクワットを繰り返すというスクワットの森のエピソードがあります。
それだけ長い時間続けられるくらいですから、扱う重量はそこまで重くはありません(もちろん、一般の人からすれば十分重いのですが)。
特に脚に関しては、高重量を追い求めるよりも、そこそこの重量で量をこなすことを重視していたようですね。
そして、もうひとつ、ここでのテーマである逆三角形の体を作るトレーニング、とりわけ背中のトレーニングに関しても多セットを重視し、10~15セット近く行っていたのだとか。
背中のトレーニングに関しては、懸垂(チンニング)とベントオーバーローイングという非常にベーシックな種目をメインにしていたそうです。
アーノルドシュワルツェネッガーのような逆三角形の体を目指すヒントがここにあるように思います。基本的な種目を多セットでやり込む、という方法です。
初心者でも取り組みやすいラットプルダウン
アーノルドシュワルツェネッガーが行っていたという背中のトレーニング種目、「懸垂」と「ベントオーバーローイング」。
このうち、ベントオーバーローイングは効かせるテクニックまたは高重量のどちらかが必要になるため、初心者にはちょっと敷居が高そうです。
懸垂であれば問題ありません。誰でも学校の体力テストなどで行ったことがあるはず。ただし、懸垂にも問題があります。体操部出身でもないかぎり、懸垂はそう何回もできないからです。
そして、1度限界まで行ってしまうと、次に行ったときの回数はガクンと減ります。これでは、アーノルドシュワルツェネッガーのような多セットを行うことはできません。
懸垂とほぼ同じ動きを、自分の体重よりも軽い重さで何度でもできるマシンが「ラットプルダウン」です。これなら、アーノルドシュワルツェネッガーが行っていたのに近い、多セットで背中を鍛えるという方法を再現できます。
ラットプルダウンのやり方
ラットプルダウンの基本的な流れは次の通りです。
1.バーを持つ時の手幅は後頭部でまず手を組みます。そうすると脇が開いた状態になりますね。そのまま肘を伸ばします。その状態がラットプルダウンを行う時の手幅です。そしてバーを握る時は「小指から」力強く握ります。
2.1の状態をキープしたままシートに座ります。その時、腰が丸まらないように背筋を伸ばしたまま座りましょう。そして親指の下の母指球で踏ん張りやすいように脚幅を決めてください。
3.シートに座れたら軽く顎を引きます。
4.いよいよ引く段階になったら首を長くするように両肩を下に落としましょう。そうすると自然と胸が張れた状態が作れます。
5.両肘を背中の後ろで合わせるイメージで引き下ろしていきましょう。この状態で広背筋が収縮していきます。
6.肘が伸びきらないところまでバーを上に戻して再び5を行います。
ラットプルダウンのチェックポイント
ラットプルダウンの各動作のポイントを詳しく見ていきましょう。
まず1を行う理由は手幅を狭くしてしまうと背中よりも上腕二頭筋(力こぶ)の筋肉がメインに働いてしまうからです。それを防ぐために肩幅よりも少し広い手幅で行ないます。
人差し指から握ってしまうとこれも同じく握力任せになってしまうので腕の筋肉がメインで働いてしまうので「小指から」握りましょう。
続いて2と4は正しい姿勢を作りやすくするための補助です。胸を適度に張ることで背中の筋肉が使いやすくなります。
さらに4には、肩甲骨を下に下げる働きがあります。ターゲットとなる広背筋は肩甲骨が下に下がるときに強く収縮します。
5では肘をこれ以上引ききれないところまでしっかり引きましょう。
6で肘を伸ばしきらないことで、負荷を逃がさず持続的に筋肉を刺激することができます。
最後に3の顎を引くについては少し詳しく解説していきます。
ラットプルダウンは顎を引くべき?
ラットプルダウンのターゲットとなる広背筋は、胸を張り、肩甲骨が下に下がり(下制)、かつ腕の動きに伴い左右の肩甲骨が弧を描いて近づく(内転、下方回旋)ときに強く収縮します。
そして、この胸を張る動作は、本来であれば視線をやや上に向け、上体が背中側に少し倒れ込むようにしてバーを引く方が上手く行きます。ただし、初心者でまだ動作に慣れていない人が視線を上に向けてしまうと、バーを戻すときに力が抜けて怪我をしてしまうリスクがあります。
そのため、初心者の内は少し顎を引いて正面を見るようにし、途中で力を抜かずにバーをコントロールし続けることを優先します。動きに慣れ、筋力がついてきたら視線を少し上に向けてみるとよいでしょう。
もうひとつ、ラットプルダウンで顎を引く別の理由にふれておきます。それは、バーを後頭部側に下げて行うビハインドネックのラットプルダウンで、大円筋をターゲットにしてトレーニングを行う場合です。
肩甲骨を寄せる動きが大きいと広背筋には効きますが大円筋への刺激は弱くなります。そのため、顎を引くことで肩甲骨を寄りにくくし、大円筋に負荷を集中するというテクニックがあります。こちらのやり方もスタンダードなラットプルダウンに慣れてきたら、バリエーションとして取り入れてみてもいいでしょう。
以上が、逆三角形のシルエットを作る1つ目の種目「ラットプルダウン」の解説でした。
三角筋中部を鍛えるダンベルサイドレイズのやり方
細いウエストと広い肩幅のコントラストが大きいほど逆三角形が強調されます。広い肩幅を作るのは肩の筋肉である三角筋、とくに三角筋の中部になります。
前後から見たときに肩が張り出して見える三角筋中部を作るにはダンベルサイドレイズが有効です。
ダンベルサイドレイズの基本的な流れは次の通りです。
1.ダンベルを手のひらの真ん中に置いて、握る時は小指から閉じていきます。
2.脚の幅は脚の間に拳が1つ入るくらいの狭めに立ちましょう。
3.胸を張って両肩をしっかりと下げます。
4.目線は斜め上に軽く顎が上がるくらいに。
5.肘を体から横に遠ざけるようにダンベルを挙げていきます。
ダンベルサイドレイズのチェックポイント
ダンベルサイドレイズの各動作のポイントを詳しく見ていきましょう。
1は小指側から握ることによって腕の筋肉を脱力することができます。よくありがちなのは握力任せで握ってしまい肩の真ん中に刺激が入らないことが多いので小指から握ります。なおこのテクニックはフィジーカーやボディビルダーの人がやっているのを見て学びました。
2は脚の幅が広すぎてしまうと重心が低くなり、三角筋の真ん中を縮めづらくなる気がします。また、これは私の感覚になりますが、足幅が狭い方が重心が上がり、僧帽筋ではなく三角筋を使ってダンベルを挙げやすくなるようでした。
3で胸を張って肩を落とす理由は肩甲骨を動きにくくするためです。肩甲骨を動かさない方が三角筋に効かせやすくなります。最初に胸を張っていないと、サイドレイズの動作の途中に肩甲骨を寄せる動きが入り、僧帽筋が関与してきます。
その点、最初から胸を張って肩甲骨を寄せていれば、動作の途中でそれ以上肩甲骨が寄ることもなく、僧帽筋の関与を減らすことができます。4にある通り、視線を上に向けた方が胸を張りやすくなります。
5については、肘を体から横方向に遠ざけることでテコの原理が働き、軽いダンベルでも強い刺激を与えることができるからです。
反対に、肘を体側に近づけたままダンベルを上げると、より重い重量を容易に扱うことができます。その場合は、アップライトローイングという別の種目の軌道に近づきます。
ダンベルサイドレイズは重いダンベルで筋肉に物理的な刺激を与えるものではなく、軽いダンベルを使ってピンポイントで効かせるアイソレーション種目です。重量にはあまりこだわらず、肘を体の横方向に遠ざけるフォームを重視して行ってください。
まとめ
ここでは、筋トレ初心者の人でも取り入れやすい、逆三角形のシルエットを作るための2つの種目を紹介しました。
ラットプルダウンで広背筋、ダンベルサイドレイズで三角筋中部を鍛えることで、逆三角形を目指しましょう!
この2つの種目は、たとえ重量が軽めだったとしても多セット行うことで筋肉をしっかり鍛えることができます。
とくに初心者の内は怪我を防ぐためにもフォームの習得を優先し、慣れてきてから重量を上げるようにしましょう。