体力作りのために通い始めた市民プール併設ジムで、大学の友人に出会いました。
彼は元ラグビー部、引退から1年半後でも服の上から胸、肩、腕の筋肉を感じさせる身体を持っていました。
ポジションはウィング(チャンス時に全速力で猛攻し得点する役割)。ラグビー選手の中では体の発達が少ないポジションだと思っていましたが、彼を見てこの考えは変わりました。
ウィングの選手は他のポジション選手よりはスピード型と言うだけで、一般的には「ゴリマッチョ」な上半身を持っていたようです。
私はサッカー経験がありましたが、同じくらいの身長なのに存在感がまるで違う彼の身体には憧れを感じました。
ありがたいことに、当時私は彼と同じ寮に住んでいたため、彼の身体を作り維持している要因は何なのか、長い時間をかけて観察し真似することができました。
自信に満ちた元ラグビー部の友人
具体的には彼がジムにどれくらい通い、その体、特にその胸を維持するために何をやっているのかをジムに一緒に通うことで探りました。
親しくなるにつれ、彼はその思考回路もポジティブで自信に満ちていて、人間的な魅力があると気づきました。
授業後、難しい課題に戸惑う私の横で「とりあえず始めよう、何とかできるよ」と豪快に笑うメンタルの強さには何度も助けられました。
私がその自信の出所を冗談めかして聞くと、「この体を見ろ!」と。
もちろんこれも冗談ではあったと思いますが、立派な体を持っていること、そしてその体を自分の管理下で維持できていることは、いわば体という資本、会社を運営し成長させていく取締役のようなもので、自分に対する自分の評価を高める要因になっていたのだと、私も筋トレを進める上で気づきました。
見た目の印象を左右する大胸筋
他人の前で素の身体を見せることなどほとんどありません。服を着ていても伝わる、魅力的な身体を作る部位とはどこでしょうか。
そう、大胸筋です。
いつの季節も大きく露出する腕に次いで、トレーニングをよく知らない方々にも重視される部位ではないでしょうか。顔に近い位置にあるために簡単に目に入るというのもポイントです。
男性の場合は厚い胸板は頼りがい、力強さや自信の表れを感じさせますし、女性の場合はバストを筋肉が底上げする形になりますのでバストアップに繋がるでしょう。
「Tシャツ一枚でかっこいい体」というのは大きな大胸筋が大半を作っていると私は思います。またスーツのようなフォーマルなスタイルでも、目立つのはやはり胸部でしょう。
ベンチプレスで初心者が注意すべきこと
ベンチプレスはBIG3と呼ばれる筋トレ種目の中で最も人気があります。
各種マシーンとは異なりフリーウェイト種目なので、自分の使用している「重量(kg)」を強く意識し競争心を煽る点も、人気の理由かもしれません。
私の場合は100kgを持ち上げる友人を見て感銘を受け、「まずは自分の体重を挙げたい」と思ったのが始まりでした。
元ラグビー部の友人は細かい種目も行っていましたが、「基本的な種目こそ複雑だ、絶対に早くからベンチを極めるべき」というアドバイスをもらい、取り入れました。
正確なフォームで基本的なセットを組む
目安としては8~12repを3セット挙上できる重量から始めますが、軽すぎると感じる重量から行うとよいでしょう。
ベンチプレスの動作では大胸筋だけでなく肩の三角筋前部や腕の三頭筋が使われます。
使用重量が重くなってくれば、使える筋肉を全て使って挙げたとしても大胸筋への刺激も大きなものになるでしょう。しかし、まだ使用重量が軽い内は、肩や腕の力に頼ったフォームではなかなか胸は発達しません。
「重量や回数にこだわりすぎず、動作そのものをどれだけ早くから正確に行えるか」ということが、この種目の最大の近道です。
私の場合は、10repを3セット、反動無しで正確に行えるようになったら重量を上げる、というスタンスで週2~3回行っています。ベンチプレスを始めてから3年、まだまだ初心者ですが既に使用重量は始めた当初の3倍以上に伸びました。
肩甲骨は寄せて下げる
大胸筋に効かせるベンチプレスに大切なのは「肩甲骨を脚方向に下げる」ことです。
よくこの種目のコツというと「肩甲骨を寄せる」という文言を耳にすると思います。しかし肩甲骨同士を寄せただけでは足りません。寄せた肩甲骨を下げることで胸が前にせり出し、最大限胸を張った姿勢になります。
胸の真裏に位置する背中の部分がベンチから少し浮くような感覚があれば正しい姿勢になっていると思います。
バーを胸の高い位置に下ろし、ヒジが外側に出るフォームは効かせる感覚は強くなるものの、肩周辺の負担が大きく怪我の原因にもなります。バーを下す位置は、張った胸の乳頭くらいか、あるいはそれよりも少しお腹側の方がよいでしょう。
自分のフォームを客観的に見る
初心者のうちは、おもりが自分の上にあると持ち上げるのに必死になり、感覚だけではどの筋肉が働いているかわからなくなることが多々あります。
ジム内の迫力ある体の持ち主でも、見た目に比べて軽めの重量を使用して丁寧に行っているものです。
ベンチプレスはフォームが命。補助を頼んでいる人(トレーニング仲間が望ましい)に見てもらうか、許されるならスマホで撮影するなどして自分のフォームをチェックするとよいでしょう。
ベンチプレスを安全に行うために
ベンチプレスを行うときは安全のために「安全バー」を必ず使用し、できれば補助役の人と一緒に行うとよいでしょう。「補助」と言っても、その人と代わる代わるベンチプレスを行えば、程よくインターバルをはさんでお互いに効率よくトレーニングができます。
ただしマナー違反にならないように、長時間のフラットベンチの占領には注意したいところです。
男性の方なら学生の頃、友達と競い合ってゲーム感覚でベンチプレスをやったことがあるかもしれません。
しかし、この種目は何も意識せず正しく行うことは恐らく不可能です。単純な挙上に見えて、実は奥が深く難しいのがベンチプレス。フォーム重視のベンチプレスは、筋トレの面白さを感じされてくれるでしょう。
(文・Auser)